
・アドラーの心理学について、時間をかけずにさらっと掴みたい
・ある程度まとまった形で全体像を知りたいな
・アドラー心理学ってそもそもどんなんだ
・他の類似本との違いはなんだ
こんな疑問にお答えします。
アドラー心理学の初心者にオススメな書籍『超図解 アルフレッド・アドラーが 1時間で分かる本』を紹介します。
この記事を書くサナトは、こんな人間です
管理人のサナトについて



・過去1000冊ほどの本を読了、毎日何かしら本を読んでいます
・多数のコンプレックスと劣等感に苦しんだ経験あり
・コンプレックスを解消するヒントを本や映画からもらいました
- アドラー心理学の初心者向けの本が知りたい
- 書籍内のポイント
- 類似書籍との違い、この本ならではのこと
- レビュー
- 他者の口コミ
4分程度で読める記事となっています。
『アルフレッド・アドラーが1時間で分かる本』の概略
タイトル:『超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間で分かる本』
著者:中野 明 氏
本書はアドラー心理学の全体像を、初心者が1時間で理解できるようにまとめられた本です。
絶版になってしまったので、Kindleがオススメです。
アドラー研究の第一人者としては、岸見一郎氏が有名です。その著書に比べれば、本書はだいぶ薄味です。ですが、研究者ではない視点で分かりやすく全体を俯瞰しているという点で、初心者にオススメできます。



岸見氏による著作も素晴らしいものが沢山あるので、いずれ紹介したいと思います
ちなみにアドラーが生きていた頃、彼はさまざまなところで講演を行ない、自身の考え方を伝えてきました。一方で、自身では執筆活動をほとんど行わなかったそうです。現在残っている主要な本は、弟子やライターが編集してとりまとめたものとのこと。
そうした背景から、本書籍ではアドラー心理学のエッセンスを並べ直して、初心者にも分かりやすいように順序立てて語ろうと試みています。



なるべく文字の多い本は読みたくないぞ



本書は、一つひとつのテーマが4ページで完結するなど、非常にとっかかりやすい本になっています
一番最初にアドラーのことを学ぶとすれば、まずは本書か、有名な『嫌われる勇気』のいずれかから始めるのがオススメです
著者はノンフィクション作家の方です。「情報通信」、「経済経営」、「歴史民俗」の3分野を中心テーマに執筆活動を行っています。専門家ではない方ならではの視点で、アドラーのさまざまな思想を再整理しようと試みたのが本書です。
書籍のポイント
アドラー心理学の全体像については、別であらためて記事を書きたいと思います。ここでは本書ならではのポイントと、類似書籍との違いを中心に紹介します。
平易で分かりやすい表現
アドラー心理学における要点である、下記が順序立ててまとめられています。一気通貫でそれぞれの関係が繋がっており、アドラー心理学の全体像を掴む手助けとなります。
・劣等感の補償/劣等コンプレックス
・ライフスタイル
・共同体感覚
・人生の3つの課題
・ライフスタイルを変える勇気
言葉遣いもとても平易で、分かりやすくなっています。
劣等感とその活かし方を例示
アドラーによれば、劣等感は誰もが感じるものであり、それ自体は必ずしも悪いことではありません。それは自身を改善する原動力にもなるからです。
劣等感を解消しようとする行為を「補償」と言い、それが過剰になると「過補償」となります。



本書の解釈では、ガウディのサグラダ・ファミリアは「過補償」であり、それが社会全体に良い影響をもたらすプラス方向に働いた例だとしています



そうなのか!?



本人にとって「やりすぎ」でも、世のためになることもあるよ、ぐらいの理解で良いと思います。ガウディが劣等感からあれを設計したかどうかは…んー分かりません!
反対に、自己の利益だけに向けられた「過補償」は劣等コンプレックスと結びつきます。劣等コンプレックスは恥や負い目を覆い隠すために、現実の課題から目を背けようとする
ものです。それは自分の利益だけを追求するもので、他人のために役立つことがありません。
こうした劣等コンプレックスは、社会と結びつきをもって補償をすることでプラスに転じるのが良い、という結びとなっています。
4ページ1センテンスで、簡潔に完結
このような構成で進みます。一つのセンテンスの中で文章があるのは実質2ページです。
1ページ :テーマの明示
2-3ページ:解説と具体例
4ページ :図解
1ページ目はそのセンテンスで扱うテーマの紹介です。たとえば「劣等感が個人に果たす役割とは」といった具合ですね。そしてリード文につながります。
2−3ページ目ではアドラー関連の著作から言葉を引用しつつ、アドラー心理学の解説を行います。概念を言葉だけで説明しても難しい場合が多いので、現実での具体例を用いて紐解いていく場合が多く見られますね。
そして4ページ目が図解となっています。



この図解は正直言ってイマイチ・・・
「AがBになる」という内容を、単純に「A→B」と矢印で描いている場合が多いので、タイトルで「超図解」と謳うほどのものではありません。
各章の終わりには1ページずつコラムが掲載されています。アドラーとフロイトの関係、妻との関係など興味深いエピソードが語られていました。



文量的にも箸休めにちょうど良いですね
当サイトでのレビュー
良い点
本書の1番良いところは、下記の2つを両立していることでしょう。
・アドラー心理学の内容を網羅的に、かつ一本の筋道の通ったものとして説明
・一つひとつのセンテンスや概念が4ページ単位で簡潔に表現されている
これは初心者にとっては大変ありがたい特徴と言えます。



僕はアドラーの勉強をし始めてから、実際この本に触れたのは4冊目でしたが、最初に読みたかったなという印象でした
アドラー関連の書籍で1番有名なのは『嫌われる勇気』ですが、あちらは先生役(哲学者)と生徒役(青年)の対談形式で、アドラー心理学を紹介しています。語り口調なのでとっかかりやすいのですが、全体像の把握という点では本書の方が優れていると思います。
気になった点
上述のガウディの件など、一部に著者独自の解釈があるように感じ、例が時々腑に落ちない点もあります。
参考にした書籍の翻訳の問題でもあるのですが、「目標」と「目的」の表記ゆれも少々気になりました。
ネット上の口コミ抜粋
Amazonでは59件の評価があり、★3.9です。
良い評価
★★★★★ アドラー心理学の基礎
amazonのラインナップならまずこれから。 「 超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本」「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え … 」の順がお勧めです。
★★★★★ 一番よく分かりました
何冊かDr.アドラーに関する書籍を読んでみたのですが、この本が一番素人の私には分かりやすいと感じました。
★★★★☆ アドラー心理学がざっくりと分かる本
アドラー心理学の概要を掴める本だと思います。
最近よくあるような、要点を読みやすくまとめ上げたような本で、各トピックごとに実際の例やアドラーの伝記も交えながら数ページ毎に 短くまとめてあります。章毎の添付図も理解の助けになります。
深いところまでとは言えないかも知れませんが、世間に出ているアドラー心理学の本を掻い摘んで紹介しているようなものなので、初めの入門編、または頭の整理にはいい本かも知れません。
悪い評価
★☆☆☆☆ 具体的な生活の事例がなくピンとこなかった
あまり具体的な生活の事例がなく、ピンとこなかった。観念的な、あまりに観念的な
★★☆☆☆ 一見、分かりやすいが・・・
内容はわかりやすく、とっつきやすい本でしたが、読後、疑問点も多々残りました。 この本の内容、実際のアドラーの言説と一致しているのか?ということです。 アドラーとは関連性のないドラッカーの紹介などもあり、この本の場合、著者の方の経験や主観的な理解が入っているように思えました。 この本の読後、アドラー自身の書き記した本(kindleでも公開されている)と比較してみましたが、やはり本物のアドラーの本の方が内容が深いです(ライフルタイルや共同体感覚についての言説等)。 こちらの本の場合、一般の読者向けの理解を促すような記述の仕方で書かれてはいますが、実際のアドラーの心理学とはズレがあるように感じました。 本物のアドラーが伝えた言葉を知りたければ、本人が書いた書物を読むのが一番です。
まとめ
以上、『超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間で分かる本』について紹介してきました
・初心者向けにアドラー心理学を体系的に解説する書
・平易かつ4ページ1センテンスで読み進めやすい
・事例に一部違和感あり。より深い内容を知りたい場合は合わないかも
アドラー心理学の本探しのヒントになっていれば幸いです。
特に本書は全体像をつなげて学びたい、という初心者にオススメです。
現在は新書の入手が難しいようなので、kindleもしくは中古本でお探し下さい。
また、別の視点から「さらっとアドラー心理学に触れたい!」という方は『嫌われる勇気』をご一読下さい。会話文が主体なので、こちらも読みやすいです。



そちらのレビューも近いうちに行いたいと思います
明日もあなたにとって良い日になりますように!
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