【実験】動物だって不公平な状況には怒るし、ストレスを感じる

動物だって不公平には怒り、ストレスを感じる
こんぷち

・他人と比較して悩むのは人間だけなのかな

・動物にも劣等感とか不平等感みたいな感情ってあるのかな

こんな疑問を感じたことはないでしょうか。

他人と自分を比べて落ち込んだり、妬んだり怒ったり・・・。そういうのは、複雑な感情を持つ人間だけが持つものと思いますよね。

しかし、実は動物も不公平に対してストレスを覚えることが分かっています。

今日はそんなテーマです。

サナト

こんぷちは人なのか動物なのか…

この記事を読んだらこんなことが分かります
  • 動物も自分と他を比べている
  • 1対1で不公平な扱いを受けるとサルはどうなるか
  • “自分だけ”と”みんなと一緒”でネズミが感じるストレス変化

それでは見ていきましょう。

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サルでも不平等な扱いには嫉妬や怒りを覚える

サルも不公平に扱われると怒り、嫉妬する

動物でも自分と他個体の状況を比べて、感情を変化させることが分かっています。あるサルの実験で、不平等な扱いに怒り出すことが観察されました。

「同一労働、同一でない報酬」を2匹のサルに与えてみた

サルなどの一部の動物も、別の個体と自分を比べてストレスを感じようです。特に同じ環境下で、違うものが与えられることには敏感な模様です。

オランダの動物学者フランス・ドゥ・ヴァール博士が、オマキザルを用いたある実験を行いました。その結果をカンファレンスで発表した映像がこちらです。3分以下の要約版なので、後半の実験部分だけでもぜひご覧ください。

実験内容

Step 1:透明の壁で仕切られたケージに、2匹のオマキザルを入れる
Step 2:ケージ内の石を外に出すタスクをこなすと、ご褒美に食べ物を与える
Step 3:最初は二匹ともきゅうりを与え、途中から一匹にだけブドウを与える

最初は二匹ともきゅうりを貰って満足そうな様子。途中で、右のサルにブドウを与えてみます。

左のサルは「次は自分もブドウを貰えるぞ」と思っていたのでしょう。ところが先程までと同じきゅうりが渡されます。

すると、左のサルは当初困惑したのち、きゅうりをケージの外に投げ返しました。

講演を聴いていた会場はこれを見て大爆笑(01:55秒あたり)。

「ふっざけんな!」というサルの怒りが伝わってきます。彼女は、ケージをゆすり、最後は床を手の平でバンバン叩いて抗議の意思を表しました。

隣のサルがブドウを貰っているところさえ見なければ、きゅうりで十分満足していたのにも関わらずです。

自分と他者を比べ、嫉妬するのは動物的本能

人間である我々も、「他人はどうかな」と気にすることが多いと思います。誰かと比べて「自分の方が少ないな」とか「自分だけが辛い」と感じたとき、ストレスを感じる人も多いのではないでしょうか。

人間が不平等な状態を嫌うことは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

自分はそんなことはないよ?

それは本当にすばらしい状態です。 人間は思考のフィルターで感情を抑制することが出来る生き物です。メンタルコントロールを学ぶと、人はある程度自分の欲求や他人への嫉妬を抑えることができます。

それは成長によって身につけたスキルです。

裏を返すと、無垢な状態のままでは他人と常に比較して、ストレスばかり感じてしまいかねないのです。

“周囲と同じ”で安心するのは、動物も人も一緒

マウスも自分と周りを比べてストレスを覚える

上で紹介したのは1対1の関係性での実験でした。次は自分と、周囲の関係性についてです。

マウスで実験。みんなで不幸になるとストレスも軽減

慶應義塾大学で行われた実験によれば、マウスにも自分と他個体を比較する傾向が認められました。すなわち、一匹だけ辛い状況だと強いストレスを感じ、他のマウス達と同じ状況になるとストレスが減るというのです。

ちょっと長いですが、研究結果のリリースを引用します▼

 慶應義塾大学文学部の渡辺茂教授は、ネズミが、皆で一緒にストレスを受ける場合(共感)と、 他は自由にしているのに自分だけがストレスを受けている(妬み)場合をマウスが認知していることを解明しました。この研究は 8 月 10 日に「PlosOne」 PONE-D-11-11013, DOI: 10.1371 で公表されます。

 人間や他の社会性動物では他者の情動の理解が社会生活のための重要な機能になります。今回 の実験では、ストレスがかけられると嫌なことの記憶がいつまでも残ることを利用して、共感と 妬みを調べました。実験では、マウスに拘束によるストレスをかけました。1匹だけの場合、他 のマウスも一緒にストレスを受ける場合、自分は拘束ストレスを受けるが他のマウスは自由にし ている場合、という条件を設け、台から降りると床から電気ショックがかかる経験をさせました。 1匹でストレスを受けていると台からなかなか降りないようになりますが、皆で一緒にストレス を受けたマウスは台からすぐ降りるようになりました。逆に、自分だけストレスを受ける条件だと、ストレスの効果はさらに強くなり、台から降りるまでの時間はさらに長くなりました、。このことは皆が一緒にストレスを受ける場合(共感)と、他は自由にしているのに自分だけがストレスを受けている(妬み)場合をマウスが認知していることを示唆しています。

引用:「マウスが「共感」もすれば「妬み」もすることを解明」 慶應義塾大学 2011年8月4日プレスリリース 2022年01月16日閲覧 https://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2011/kr7a4300000725dc-att/110804_2.pdf

結果だけを抽出すると、下記のようになったそうです。

実験内容

Step 1:マウスAだけケージに入れて拘束する →Aのストレスホルモン量が
Step 2:
5匹同じケージに入れみんなを拘束する →Aのストレスホルモン量が
Step 3:
マウスAだけ拘束して4匹を自由にする →Aのストレスホルモン量が

Step 1は、比較対象が無い状況です。ここでは、受け取め方がニュートラルです。

Step 2は、他のケージメイトたちも拘束されると、ストレスが減少します。「みんな苦しい」状況を目にすると、辛さが感じにくくなるというわけですね。

Step 3は、自分だけが苦しい時に、みんなが自由に遊び回っている様子を目にする状況。集団の中で自分だけがそうした状況にあると、とたんに辛くなるというわけです。

不幸だと感じるのは相対的!?

「みんなツラいんだから我慢しろ」という言葉があります。上述した実験を見ると、少しだけ理にかなっているように思えます。

周囲もしんどい状況の時には、自分だけの時よりもストレスが減るからです。これはマウスだけでなく、人間も一緒ですよね。

例えばの話です。

17時になり、さあ帰ろうという時、上司に話しかけられたとします。下記の2パターンでご自身の気持ちを想像してみてください。

<自分だけしんどい状況

上司

悪いんだが、明日の朝までにこの資料Aを仕上げてくれ。

他の皆は帰ってよし(俺も帰る)

<周りもしんどい状況

上司

悪いんだが、明日の朝までにこの資料Aを仕上げてくれ
○○さんは資料Bを、■■さんは資料Cを朝までにやってくれ
(俺は帰る)

上司が自分を置いて帰ることは一緒です。

後者の状況では、このあと愚痴大会でしょう。ただ、周りのみんなが同じ境遇だった場合はどうでしょうか。不思議と、辛さが軽減されるような感覚になりませんか。

逆に、前者の状況の方がよりメンタルに堪えるでしょう。大勢のなかで、自分だけが悪い境遇に置かれた時のストレスは耐えがたいものです。

置かれた環境や、仲間の状況によって受け止め方が変わってくるのです。マウスの実験でも、サルの実験でも、他人(他個体)との相対的な見方をしていることが分かります。

周りと比べて何かが足りないと感じたとき、動物の本能が危機感を覚えるのではないでしょうか。「生存確率が下がってるんじゃないか? この状況でぼーっとしているんじゃない! すぐに差を埋めなさい」というアラートではないかと思います。

ここにも、劣等感を克服して前向きに生きるためのヒントがあるような気がしますね。

まとめ

以上、動物が不公平な扱いを受けた時の事例を2つご紹介しました。

かんたんにまとめます。

POINT
  • オマキザルの実験では、ご褒美に差を付けられたことを認識し、怒ることが確認された
  • マウスの実験では、周囲と一緒に苦しい状況下でストレスが緩和され、自分だけ苦しい状況だとストレスが増加することが確認された
  • 動物の本能として自他を比較し、不平等や劣等を埋めたがる傾向があると思われる

いかがだったでしょうか。

直接的にあなたの抱えるコンプレックスや劣等感を解決する情報ではなかったかも知れませんが、自身の感情を整理する上で参考情報の一つとなっていれば幸いです。

明日もあなたにとって良い日になりますように!

ブログ村

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