
どうして自分はこんなに太りやすい体質なんだろう?
同じ量を食べている友達は全然太らないのに…
同じ量を食べているのに太りやすい人、太りにくい人がいます。
これは筋肉などの基礎代謝による影響も大きいのですが、実は脂肪細胞の総量に差がある可能性があります。



うちの子どもって食欲が旺盛なんだけど
食べたいだけ食べさせて良いのかな…
こんな疑問を持つ方も、要注目です。
幼い頃から食べすぎると脂肪細胞はどんどん増え、年をとっても減らないと言われています。
今回は、そんな太りやすい体質と、子どもの頃の肥満の影響について、一緒に考えていきたいと思います。
ちなみに、遺伝子による先天的な体質である可能性もあります。そちらについては、この記事で詳しく紹介しています。


この記事を読むと、こんなことが分かります。
・太りやすさを決める要因「脂肪細胞」について ・幼児がたくさん食べたがる理由 ・子どもの食べすぎによる、成人後の影響 ・保護者の立場で気を付けるべきこと ・自分が太りやすい、と感じたら
遺伝だけではない。子どもの頃に体質が決まる


太りやすさを左右する、「脂肪細胞」の量
太りやすさに関わる大きな要因の一つが、全身の「脂肪細胞」です。
一般的に、太りやすい・太りにくいという体質は、遺伝的要因も大きいとされています。例えば、サモア人は他の地域の人に比べて体が大きな人の割合が高いことで知られます。
しかし、遺伝だけでなく、生まれた後で太りやすい体質にもなりえます。その要因の一つが、冒頭で述べた脂肪細胞というわけです。
これは正確には「白色脂肪細胞」と呼ばれるものです。中性脂肪を蓄える性質を持っており、人によってその細胞数がまったく違います。また、最近の研究では大きさにも違いがあることが分かってきました。
よく混同されるのが「肥満細胞」です。まぎらわしいですが、肥満細胞は免疫に関わる細胞なので太りやすさとは直接関係はありません。
整理すると、以下の通りです。
太りやすい人は…脂肪細胞が多く・大きい 太りにくい人は…脂肪細胞が少なく・小さい



人によって総量が違うということは、先天的なものじゃないの?
脂肪細胞は、生まれてから成長期を終えるまでの摂食状況によって増え方が変わるとされています。栄養が過多になれば脂肪細胞の数は増え、また大きくなっていくのですね。摂取するエネルギーが消費よりも大きいと、脂肪細胞に中性脂肪が蓄えられていきます。
つまり「太っている人」というのは、こうして膨らんだ細胞をたくさん体に持っている状態ですね。


脂肪細胞は減らない
恐ろしいのは、一度増えた脂肪細胞の数は基本的に減らないということです!



えっ、じゃあダイエットで痩せた人ってなんなの?
それは細胞のなかの脂肪量が減っただけで、細胞自体の数はほぼ減っていないと考えられています。
カースティ・スポルディングという細胞学の研究者が、胃のバイパス手術を行った患者20人の細胞経過を調べた結果、1年後にはBMIが平均18も下がったのに脂肪細胞の総数に変化は無かったという報告をしています。
(ただし、脂肪吸引であれば細胞そのものを体外に出すので総数は減るはずです)
脂肪細胞が増えやすい時期
脂肪細胞が増えやすいのは、体の成長期。特に幼少期と言われています
※1歳まで/3歳まで、など時期は諸説あり
子どもの頃に肥満だった人は、大人になったあとも太りやすく、痩せにくい体質になるとされているのです。上記のスポルディングによる研究でもそれを裏付ける結果が示されています。
日本での調査結果ではありませんが、肥満児の75%が成人後も肥満が継続し、健康的な体重だった子どもが成人後に肥満になるのは10%だったとしています。
食べすぎてしまうと脂肪細胞が増えてしまい、例えるならたくさんの”脂肪を貯める袋”を抱えてしまうことになるわけですね。
参考URL:Fat cell number is set in childhood and stays constant in adulthood
“DISCOVER” May 5, 2008


幼児は食べられるだけ食べようとする


未発達な満腹中枢
幼児は満腹中枢が未発達なので、自分では「腹8分目」と感じにくいのです
皆さんは身の回りで小さい子どもがパクパクものを食べているのを見て、その体に見合わない食欲に驚いたことはないでしょうか。
子どもによってもちろん差はありますが、基本的に幼児の食欲は旺盛なのです。
その理由の一つは、冒頭で述べたとおり満腹中枢が未発達だからです。子どもによっては、大人が驚くほど食べたがることもあります。
この記事を書いている2021年現在、僕にも2歳半になる男の子がいます。最近では好き嫌いが出てきたものの、とにかく好きなものはよく食べます。
この間は、丸亀製麺のぶっかけ一人前と、ちくわ天をペロリと平らげました。そのあげく、「もっと食べる」というのですから、唖然として止めました。
でも、後になって調べてみると、冒頭で述べたことが要因であると分かりました。
食欲は生きるために欠かせない
これは文明が未発達であった頃の、一種の生存戦略でもあったのではないかと思われます。猿人だった頃からウン万年単位のあいだ、栄養が継続的に摂取できる保証なんてありませんでした。
それが、我々の遺伝子に刻まれている”常識”です。
とりわけ子どもの頃は体も弱く、つい百年前までは医療も未発達なこともあって、幼児の死亡率はとても高かったのです。だから幼いうちは、とにかく栄養を取り込めるだけ取り込んで、生き残る確率を高めようという本能も働いているのではないでしょうか。
余談ですが、七歳までは子どもは神の子(この世に定着していない不確かな存在)として、「三歳まで生きれた」、「五歳まで生きれた」ということを祝福する習わしで「七五三」があるとされています
現代は栄養過多になりがち
そんな満腹中枢も4−5歳には発達し、食欲はあるていど落ち着くといわれています。
ただ、好き嫌いはますます強くなっていきますので、糖分の取り過ぎや栄養の偏りには気を配っていく必要があります。
現代では昔に比べて圧倒的に栄養失調の心配は減りました。しかし反対に、栄養過多の問題が頭をもたげているのです。
僕も親として反省しなければならないのは、子が求めるままに与えることです。
(幸い運動量も凄いせいか、いまは標準体重以下で推移していますが、油断は禁物ですね)
子どもの肥満は、将来に渡ってその子の体質に影響を及ぼす恐れがあるからです。
子どもの食事で気をつけるべきこと


これは特に親だけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんに気をつけて頂きたいですが…
子どもに栄養価の高い食べ物を際限なく与えることは控えましょう
子どもがパクパクと何かを食べる様子は、ほんとうに可愛いものです
しかし、食べ過ぎによる肥満は、上記のように一生の体質を左右することになってしまいかねません。特に満腹中枢が発達しきっていない幼児期は、与えられればいくらでも食べようとしてしまいます
「もうすぐ、おなかいっぱいになる」と、大人のように脳がうまく指令を出してくれないのです
大人が責任を持って、適切な食事量となるよう気を配ってあげてください。
成長曲線が大きな目安
ただ、子どもは運動量も凄いですし、そもそも成長には栄養が欠かせないので、母子手帳の成長曲線を大きく外れなければ、過度に心配することはありません。
もし、通常の成長曲線を大きく外れてしまった時は、その子の将来のことを考えて与える量をコントロールする意識を持っていただきたいと思います。
また、僕自身は子どもの頃に叔父から心ない言葉を浴びせられて、それがしばらくトラウマになってしまいました。


肥満は親の目の届かないところで、子どもにさまざまな試練を与えることもありえる、とご一考いただければと思います
(上記はあくまでも僕のケースです。すべての肥満の子がそうなると言っているわけではありません)
すでに太りやすい体質となってしまった我々はどうする
残念ながら脂肪細胞の総数は、脂肪吸引や切除をしない限りはほぼ変わらないと言われています。我々はこの脂肪細胞の量と向き合っていくしかないようです
しかし、ご安心を。
現代は健康的に痩せられる合理的な方法もたくさん見つかっています。
食べ物に関していえばローカロリーな食事や食べ方の理論、また基礎代謝を上げるさまざまなノウハウなど…。大人ならではの情報量と、合理性の力で取り組むことが可能です。
それらはこのブログでもご紹介していきたいと思います。
一緒にがんばりましょう!
まとめ
以上、太りやすくなる要因の一つ、肥満細胞について解説してきました。
要点をまとめます。
- 脂肪細胞の量が太りやすさにつながる
- 脂肪細胞は幼児期からの食事習慣で増えていく
- 一度増えた肥満細胞は基本的に減らない
- 脂肪細胞が多い人は太りやすく痩せにくい体質となる
- 幼児は満腹中枢が未発達なので食べたがる傾向にある
- 親は子どもの食事に一定程度気をつける必要がある
- 我々は情報と合理性を武器に取り組もう
特に現在親である世代はともかく、おじいちゃん・おばあちゃんは孫への愛情から無限に食べ物を与えようとしてきます。そのリスクについてご理解いただき、子どもの食べすぎ防止につながれば幸いです。
明日もあなたにとって良い日になりますように!
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