
むかし、人から「太ってる」って言われたことがすごくショックだったんだけど、いまだにこの言葉がちらついちゃう。このモヤモヤを晴らす方法って無いのかな
自分が気にしているようなこと、コンプレックスに感じるようなことを、他人からはっきりと言われたらとても傷つきますよね。
筆者もこれまで、さまざまなコンプレックスに苦しんできました。そのうちの一つが太っていたことで、実際にこういう言葉から立ち直るのに苦労しました。
不思議なことに、1度言われただけの言葉が、何度も頭の中でリフレインしたりしませんか。それにはちゃんと理由があるんです。
今回はそんな心無い言葉から立ち直る方法について書いていきたいと思います。
- 嫌な言葉が頭で何度も回る理由
- どうすれば払拭できるか、一つの方法論
- 人へ投げかける言葉の配慮について
なお、本記事で紹介するものはあくまでも方法の一例ですので、これを実践するだけで完全に過去のトラウマが払拭できると保証するものではありません。とくに生命の危機の関わるようなPTSDの解消を想定したものではありません。あくまでも参考としてご覧ください。
嫌な言葉、ショックな言葉は記憶に残る


他人の言葉がトラウマに! 記憶に残る2つの理由
人から言われたことで、特に嫌な言葉が記憶に残って思い出してしまうことってないでしょうか。人間は長く辛い期間のことって忘れてしまえたりしますが、一瞬の嫌な記憶は脳に定着しやすいようです。(過度にしんどいと脳の防衛反応で忘れることがありますが、そこまでいくのはレアケースです)
その理由は、下記2点だと考えられます。
- 自意識にとってそれが重要なテーマであるため
- 反芻してしまうため
まず1つ目ですが、人間はどうでも良いことは記憶に定着しにくいようになっています。
例えば、昨夜に友だちと話した2つ目の話題、今朝さいしょに目にしたニュースの内容など。日々、さまざまな情報にさらされているなかで、それら一つひとつは覚えようと思わない限り、あっという間に忘却のかなたへ去ってしまいますよね。
ところが、外見を指摘されて嫌な気持ちになったときはどうでしょうか。
それは自意識が脅かされることなので、よほど自分の外見に関心がない人でなければ、「重要な問題だ」と頭で重み付けを行ってしまいます。
これが記憶に定着してしまう1つ目の理由です。
2つ目の理由ですが、上記によって気にすればするほど、頭の中で同じ問題がぐるぐると回ります。
何度も繰り返し考えることが学習効果となり、ますますそれが忘れてはならないことだと頭が認識してしまうのですね。短期記憶から長期記憶に移行していってしまうのです。英単語や世界史の出来事など、忘れそうなことを何度も口に出したり、同じ問題に出くわすことで脳に記憶が定着します。悲しいかな、それと同じ効果になってしまっているのです。
この2つが負のスパイラルとなって、言葉を何度も思い出させる効果を生みます。
“火の玉ストレート”ほど記憶に残る


言い方がド直球であればあるほど、短いフレーズなので記憶がしっかりと原型をとどめて残ってしまいます。
2021年秋、日ハムの新庄ビッグボスが清宮選手に投げかけたこの言葉が話題になりました。
「デブじゃね」
これ、いわゆる”火の玉ストレート”です。
ビッグボスは就任して依頼、その一挙手一投足に話題性があるため毎日のようにメディアで報じられていますね。その一つとして、この発言もメディアは見出しに使われ報じられました。面白おかしく報じられていますが……人によっては、けっこう胸に刺さる言葉なんですよね、これ。



清宮選手の胸の内はわからんが、普通の人ならだいぶ堪えると思いますぞ
あれはプロアスリートの体調管理に向けたセリフであり、ビッグボスには球団のパフォーマンスを上げる責任があるからこそ許されている言葉です。
お願いだから、一般の人は真似をしないでくださいね。特に小中学生や、その指導者の皆さん。
子どもの頃の記憶って、その後の人生に劇的な影響を及ぼしますから。
人生経験を経てメンタルバランスが落ち着いてくると、他人の評価も上手に受け止めたり、流したりできるようになっていきます。しかし、特に心が弱っている時や、まだ自分の軸がしっかりしていない幼い頃は、周囲の言葉の影響を受けやすいのです。
僕は子どものころに言われた言葉で、10年以上コンプレックスに苦しみました。


イヤな言葉を克服する方法


記憶は忘却できない。が、大丈夫。
残念ながら、一度定着した特定の記憶を忘却することは難しいです。
別のことに没頭することで一時的に忘れることはできますが、本人にとって重要な問題であれば、またどこかの場面で考えてしまいます。
しかし、大丈夫!
僕は20年前に言われた「太ってる」という指摘の場面をはっきり思い起こせますが、いまではまったく負の感情が沸かなくなりました。記事をご覧のあなたが、僕と同じく過去の言葉の呪縛から解き放たれることを願ってこれを書いています。
その方法をご紹介します。
嫌な言葉から解放されるには
色んな方法がありますが、特に僕が実際に行って効果があったものはこちらです。
- その経験を他人に何度か説明する
- 言葉が正しい内容なのか(受け入れるべきか)を改めて考える
- 根本要因を取り除く
- 再評価を何度も上塗りして自分が納得する<
すべてやる必要はないですし、順番もありませんが、特に重要なのは4つ目です。順に説明していきます。
まず、「他人に説明する」というのは暴露療法とも言われている手法の簡易版です。不安になる記憶に敢えて何度も触れることで、条件反射的な不快感を和らげていく効果があるとされています。また、他人からのフィードバックを得て、自分の行き過ぎた解釈が整理されることもあります。
つぎに「言葉が正しい内容なのかを改めて考える」ですが、これは書き出してもいいですし、口に出してもいいです。上で挙げたフィードバックの効果と似ていますが、感情を抜きにこの言葉をどう取り扱うべきかが見えてきます。相手が憎しみのあまり発した誇張表現なのか、気になっていたことがつい口を出たのか。相手が言葉を発した背景まで読むのは大人でも難しいですが、正しいか間違っているかは分かることが多いです。
そして「根本要因を取り除く」について。この場合は、端的に言えば痩せることです。



根本要因を取り除くだけで済む話なのでは?
たしかに、この場合はダイエットに取り組んで、痩せればそれで解決する問題だと思いますよね。しかし、いつも要因を取り除けるわけではありませんし、それだけでは立ち直れない場合があります。
僕が体型を標準にするのに掛かったのは1年か2年です。でも自分で納得するのが遅かったので、実際に自信回復には10年以上かかりました。




人間って不思議なもので、事実がどうこうだけでなく、自分がどう感じるかが本当に大切なんです。だから最後の「再評価を何度も上塗りして自分が納得する」がとても重要。むしろ、根本要因をすっ飛ばしてそれだけで解決することもあるほどです。
社会人になって、 様々な場面で周囲の人が「サナトくんは痩せている」という言葉をかけてくれたことによって、だんだん自分の意識から体型に対するコンプレックスや引け目が 消えていくのを感じました。
こういった再評価は、心の傷に対する塗り薬なのです。1度塗るだけではだめで、何度か繰り返し上塗りすることで「自分はこれでいいんだ」と自己への認識が確かなものになります。
繰り返しますが、一番重要なのは自分が納得するかどうか。仮に「太っててもいいじゃないか」「それが本来の自分だ」と再評価の過程で納得し、心が落ち着くのであれば、それが一番いい状態です。
リラックスした状態でその言葉を受け取れるようになるまで、意識的に再評価される経験を繰り返せるのが理想です。
できれば身内ではなく、一定の距離感のある他人が望ましいでしょう。
まとめ
以上、嫌な言葉の克服について解説してきました。
要点をまとめます
- 嫌な記憶は定着しやすい
- それは自意識にとって重要で、自ら反芻してしまうためである
- 子どもの頃に受ける言葉は、その後の人生に影響する可能性がある
- 定着した記憶を忘れることは難しい
- が、克服することは可能
- 効果的な4つの手法は、他人に説明する、事実を整理する、根本要因を取り除く、再評価を重ね納得する
- 特に納得することが最も大切。要因が取り除かれなくてもよい
これらは僕が実際にコンプレックスを体験したなかで実践したものです。このなかに共通するものが、認知行動療法としてより高度に体系立てられていることを後で知りました。興味があれば、それらの書籍にも当たってみてください。
明日もあなたにとって良い日になりますように!
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