
・世界失敗製品図鑑ってどんな内容なんだろ
・話題になってたけど、詳しい内容が知りたい
こんな疑問にお答えします。
記事の内容
- 本の概略
- 書籍内でのポイント
- 全体レビュー
この記事を書くサナトは、こんな人間です



・過去1000冊ほどの本を読了、毎日何かしら本を読んでいます
・多数のコンプレックスと劣等感に苦しんだ経験あり
・コンプレックスを解消するヒントを本や映画からもらいました
『世界「失敗」製品図鑑』の概略
タイトル:『「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道 世界「失敗」製品図鑑』
著者:荒木 博行 氏
本書では、実際に過去に売り出された20の製品が売れなかった事例を紹介します。登場するのは、コカ・コーラやソニーといった誰もが名前を知っている有名企業ばかり。あの企業も、この企業も、こんな大失敗をやらかしていたのか、と驚く話が目白押しです。中には、「あー、こんな製品もあったよね」と懐かしむこともあるでしょう。
中身はゆるーい製品イラストと、読みやすい平易な文章で構成されており、肩肘張らずに読むことが出来ます。図鑑と言いつつ、文章がメインの本です。
時系列に沿って、企画当時の時代背景や社内調整の様子、マーケティングなどがしっかり綴られており、サラリーマンが読むにはとても興味深い内容ばかり。



こう考えちゃうのも分かる気がするなあ、と苦笑いする場面も多々ありました
1つの事例につき、「どういう製品だったのか」「どのようにして失敗に至ったのか」「なぜ失敗したのか」「私たちへのメッセージ(考察)」という4部構成になっています。
正月休みや、ゴールデンウィーク、お盆休みなどの時間に寝転がって読むにはちょうど良いのではないでしょうか。1事例10ページほどなので、気軽に読み進めることができます。通勤途中で読んでも1週間もかからず読み終えることが出来ると思います。
記憶に残ったポイント
誰でも失敗することが学べる
僕のようなコンプレックスを感じやすい人間にとって、「失敗」をすることって怖いんです。特に会社のなかでは。いつも誰かと比べてしまったり、また他人からの評価が気にしがちですから。しかし、一方でこの本が教えてくれるのは、どんな大企業でも、どんな優秀な社員でも失敗するときは失敗する、ということです。こうして本を通して、少し俯瞰した立場で事例集を眺めることでそれが腑に落ちます。事例や背景への踏み込みも必要十分で、リアリティがありますね。
社内プロセスが正しくても失敗する
サラリーマンを続けていると、ついつい社内の力学に頭が囚われてしまいます。
印象深かったのはフォード社の開発したエドセルという車のケース。ちゃんと社内承認プロセスを経て、優秀な役員たちから絶賛され、多額の宣伝広告費を投じた。けどまったく売れなかった。そんな事例が紹介されています。
また、コカ・コーラの味変更ケースも興味深いです。製品は優れていたのに、顧客に訴えかけるやり方や印象の与え方によってアメリカ全土で大炎上する、というものでした。顧客に訴えかけるには機能とデザイン、そしてストーリーが必要という結びにつながります。
諦めなければ失敗が活かせる
また、アインシュタインの発想を借りれば、諦めない限り失敗にはならないと考えることもできます。ただ、何万回ものうまくいかない方法を発見しただけだ、と。実際に、この『失敗製品図鑑』に登場する企業はとてつもない大損を作ったあとで、その反省から次の製品開発に活かす様子も綴られます。
プロジェクトXのようなケレン味は無いですが、不屈の精神を受け取りたいあなたに。
総括
「失敗」に焦点を当てながらも、面白おかしく笑うタイプの本ではありません。
下記が20例すべてに書いてある良書です。
- どうして駄目だったのか
- その経験を生かして、当時の人々はどのように市場に対して反撃に打って出たか
事例もバラエティに富んでおり、たくさん勇気をもらいました。
絶え間なく続く技術革新、変化する顧客ニーズのなかで、常に失敗しない事業を立ち上げるのは限りなく難しいことだと感じさせられました。そのなかで失敗から学んで活かす姿勢が成功につながる道なのだと教えてくれるようでした。
一方で、すこし心に引っかかることも。本書の中で頻繁に登場するのは、そうした失敗の余波を受けて解雇された人々です。大損失を被った結果、○○○○人がリストラされた、といった記述がたびたび登場します。経営サイドや役職者は失敗を糧に立て直すことが出来たかもしれないが、雇用を切られた労働者はその後どうなったのだろうか、と思わずにいられませんでした。願わくは、次の勤め先で経験を生かして成功を収めていることを…。
興味があったら、ぜひ手にとってみてください。
明日もあなたにとって良い日になりますように!
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